中国のネットに

規制がかかった。デモを意味する「游行」という漢字が含まれている文章をアップすることが不可能になっている。反日系のHPでも意見が削除されたという話が見られる。中国政府は本気で事態の沈静化を計っているのだろう。
とはいえ、ヤフーチャイナで検索すると古い記事が引っかかる。それらも現在ではアクセス不可能になっているものばかりだが、キャッシュは今でも見られる。このあたりの不徹底はどう解釈するべきなんですかね。規制が本気でないということなのか、はたまたそこまでは手が回っていないということなのか。所詮ネットはどんなに規制しても必ず抜け道があるものだ。「游行」がだめなら、ということでピンインでyouxingと入力している例がある。政府も抑えきれないと諦めてるというのが妥当じゃないだろうか。
中国語が読める人なら、以下の記事がけっこう詳しい。いささか美文調に過ぎるから本当に事実に基づいているのかちょっと怪しいけれど、警察とのやりとりとかはけっこう生々しい。キャッシュなのでちょっとURLが長いですが。
ttp://202.43.217.123/search/cache.html?p=%E5%8C%97%E4%BA%AC+%E6%8A%97%E6%97%A5+%E6%B8%B8%E8%A1%8C&scch=on&ei=UTF-8&b=11&u=www.newsive.com/html/2005-4-10/200541085801.htm&w=%E5%8C%97%E4%BA%AC+%E6%8A%97%E6%97%A5+%E6%B8%B8%E8%A1%8C&d=EF8F011285&icp=1&.intl=cn
もう一つ、途中まで参加していた中国人のブログを見つけた。自分のデジカメがソニー製品なのを悔しがっている。でもこちらは日本から荒らしに行くやつがいると困るのでURLは貼りません。彼が同行したデモ隊は西直門まで歩いてから地下鉄に乗る予定であったように書いてあるが、彼はそこで用事があって帰ってしまったというから真相は分からない。彼もまた、自分のブログにアップしたいくつかの文章が削除されたことに怒りを表している。
日本語で読めるものとなると、おれのところなんかよりもこちらのほうが数段詳しい。八年いる人は流石に違う。ぺきん日記 -中国/北京より- (元祖exblog版)
これらを総合すると、最初に海龍に集合して集会が済んだ後、いくつかの集団に分かれてそれぞれに行動したようだ。そして道々人が増えたり減ったりを繰り返していったのだろう。各種の報道が人数を正確に把握できないのも無理はない。たとえヘリを飛ばして取材したとしても実数の把握は不可能だろう。もっとも、中国人民は公称13億であるということもきちんと押さえておかなくてはならない。日本で数万人のデモと言えば相当のものだが、そもそも母数が違うのだ。
加えて、参加者の質が一様でないことは昨日紹介した分析からも想像できる。あれは直接には深圳で商店を破壊した人間に対する分析だが、今度の北京のデモにもある程度は適用できるだろう。また、同じ掲示板に今日書かれた書き込みも紹介に値する。書き込み主を仮にDとするが、Dの妹が昨日、深圳で起きた二度目のデモに参加したことをDに興奮して伝えてきたというのだが、彼女の感想は「楽しかった!」だそうだ。彼女は路上を進むデモ隊を見て楽しそうだと思い、その場で隊列に加わったのである。日本に対する不満をぶちまけたから「楽しかった」というのではなく、お祭りで楽しかったということなのだ。Dは、その妹同様にお祭り気分にひかれて参加した人数も少なくなかっただろうと推測している。
ところで、今度のデモではバスが用意されていて行進が終わったデモ隊を送り届けたことから、今度のデモが中国政府主導のものとの説がいくつかネット上で見られたが、少なくとも中国のデモではバスが用意されるのは普通のことらしい。ソースはこちら。
日々是チナヲチ。
おれ自身も中国ではデモが禁止されているみたいな書き方をしたけれど、これはちょっと説明が良くない。一応合法ではあるのだ。ただ、これは中国人自身が言うことなのだが、中国では法律は至上のものではない。それゆえ合法とはいっても、自由にデモを申請してすぐに実行できるわけではない。一応法律はここ。
ttp://www.lwtjj.gov.cn/tjfg/jihui.htm:title
だいたいこの法律自体が天安門事件の半年後に制定されてる法律だし、現実には微妙なものがあるに違いあるまい。そういう意味で、日本はじめ諸外国のメディアで言われる「当局の暗黙の了解」というものがあると言っても間違いではないだろう。
ただ、おれが思うに官が絡むかどうかなんてどっちでもいいことだ。そもそも日本とは国家の体制も違うし、政権と民衆の距離感も違う。官民一体の策動みたいな見方をしたところで何が出てくるというのだ。確かに中国政府はある程度民衆を利用しているだろうが、中国人の言う「愛国」は「愛中国」ではあっても、必ずしも「愛中華人民共和国」ではない。デモ隊が外で騒いでいった土曜日の午後、WJはおれにそう言った。また昨日も書いたように、おれは確かに昨日中国人の友人二人に食事をおごってもらったし、LWには彼の車で大学まで送ってもらった。彼らも含めておれの友人たちは、おれがもしもトラブルに巻き込まれたときは必ず力になってくれるだろう。かといって彼らが日本の政策を支持しているわけではないのだ。帰りの車のなかでLWはおれに向かって靖国常任理事国などについて、いろいろな疑問をぶつけてきたものだ。
すくなくとも、今度のデモだけで中国を判断するのは間違いだし、デモやその他の反日的な言説の横行を理由に中国との付き合いをやめろとか言ってる連中を見てると反吐が出る。