北京は平和な週末だ

一部ではまたデモが起きるとか言われていたし、南方では実際に起きたようだけど、北京の週末は至極平穏だ。ある程度の警戒心は常に持っていなければならないが、だからといっていつも怯えているわけじゃない。例えば、渋谷で一万人くらいのデモがあったとしても、自分が上野にいたらそれに気づくことすら無いに決まってる。それと同じことだ。
昨日は昼に友人の日本人と食事に行って、それから例によってゲーセンへ。みんなの態度には変化など少しもなく、友人たちに誘われるままに一緒に夕食を食べてから帰ってきた。何人かに聞いてみたところ、五・四に再度デモが企画されているという噂は彼らもたいてい知っているようだ。連絡手段はやはりメールかQQである。彼らもまた、参加者の大部分は学生と無職だと言っていた。しかし現状の取り締まりを見ていると、デモがあるとしてもそれほど危険なものにはなりようがないのではないか。無論、人が増えれば暴走する確立も高まるから、今度はわざわざ写真を撮りに行ったりはしないかもしれないが、状況次第ではまた行く可能性もないわけじゃない。
今日のヤフーチャイナの報道ページには、小泉・胡錦濤会談と、卓球の福原愛が駐日中国大使王毅を訪問した記事がともに画像付きで紹介されていた。象徴的である。卓球以外のスポーツは中国への遠征を取りやめたり、あるいは判断を保留したりしていると聞く。その気持ちは分からないでもないが、しかしそうした判断の背景にある、無分別な日本への憎悪や反発というものは今後起こりにくいと思う。
おれの友人たちや中国政府の報道は常に「日本政府と一般市民は別だ」というが、それが日本に伝わっているとは到底思えない。おれの親すら中国に反感を覚えているようだし、留学生たちの間でもそうした感覚のズレがしばしば話題に上る。在中国日本人のブログで、自身が危険にさらされたという記事はまだ読んだことがないのに、日本人のネットには反発や嫌悪感があふれている。中国政府の報道は中国人に「冷静に、理知的に」と訴えているが、これはそのまま日本にも適用できそうだ。
こういうズレが中国側にないとは言えない。以前から言及している、前回の北京のデモに参加した某中国人のブログには、デモ以降に横浜の中国銀行であった事件などを列挙して、「これらが全て右翼の仕業だというのか?そんなわけはない!」と言って大いに憤慨していたのだが、普通の日本人から見れば、一連の中国関連施設への嫌がらせはすべて右翼の仕業だということは明らかだ。
どちらを見ていても嫌な気分になる。自分の無知をわきまえていたいものだと切に思う。
あ、あともう一つだけ。まれにこの日記に「蔡依林」で検索かけて飛んでくる人がいるようですが、そういう人のために一言、明日がニューアルバムの発売日ですので、忘れないようにしてください。日本でも明日発売されるとは思えないですが、一応お知らせということで。