再度、こちらでレスを

提督氏にはいまひとつ分かっていただけていないようですが、おれは日本人が神道を信じるか否かを問題にしていたわけではありません。そもそも、このような信じるか否かなどという設問が適当かどうかすらおれには疑問ですが。ここで問題になっていたことは、神道が死生観にどれほどの影響を及ぼすかという点です。
それから中華思想ですが、これについてはいくらでも研究があります。今更おれが言うべきことがあるとも思えませんし、またおれ自身でそれほど研究したわけでもありませんので、ここはひとまずそちらの議論が成り立たないことだけを論じたいと思います。
そちらの考えでは、
1 中国は中華思想のもとアニミズムの残る地域を臣従させて、当該地域のアニミズムを駆逐する。
2 日本は今なおアニミズム神道的要素が根強い国である。
となっている、これはよろしいでしょうか。おれはこのいずれにも同意できませんが、それはひとまず棚上げして、この意見が正しいものとして考えてみましょう。
これまでの歴史上で過去に二回、日本は中国に臣従しています。卑弥呼が魏に対してが一度、足利義満が明に対してが一度です。ということは、どうなるでしょうか。
臣従した地域のアニミズムが駆逐されるなら、今の日本にアニミズムは存在しません。逆に、今の日本がアニミズムの根強い国であるならば、たとえ臣従したところでアニミズムは駆逐されないことになります。典型的な矛盾です。おれが思うに、そちらの意見はそもそも成立しないものにしか見えません。
東条英機を裁くのは日本人自身だというなら、それはおおいに結構でしょう。あれだけ国民を苦しめた責任をどう追求するか、そういった点を議論するのは非常に実りのあることです。大戦当時の日本軍は、ある戦闘で失敗した将校がしばらくするとまた前線に帰って懲りずに指揮を執ってまた負けるという無責任かつ不可思議な集団でしたが、こういう悪習は捨て去るべきことです。裁判の結果を受け入れるか否かという問題を抜きにして言えば、東京裁判が公正なものではないというのは同意できます。しかしだからといって、東京裁判の被告たちの評価をやり直すと言う場合、それは必ずしも東条以下の名誉を回復することを意味しないでしょう。彼らの政治や戦争指導がどのように間違っていたのか検討することは、良い教訓を引き出してくれるに違いありません。