物価のこと

久しぶりに自転車に乗って外出した。寒さが緩んできたので、自転車に乗る気が起きたのである。冬の間ずっと放っておいたせいで、空気は抜けているし錆も浮いてきていたけれど、空気さえ入れれば走る分には問題がない。しかしジッポーオイルを探すのに一苦労した。日本から持ってきた一本がついに空になったので探しに行ったのだが、普通の商店ではまず置いていない。こういうときに当てになるのはやはり外資系で、カルフールでようやくオイルを発見、おれのジッポーはまた火がつくようになった。
こっちの物価が安いのは周知のことだが、それは一方的なものの見方に過ぎなくて、高いものは果てしなく高い。食事を例にとろう。学食で食べるなら3元も払えばまあ腹は満たされる。町中でも5元くらいで満腹にはなれる。このくらいが恐らく最低ラインだろう。ところが宮廷料理などの高級料理になると一食で2000元なんてものもある。およそ600倍である。小姐についても前に書いたとおりで、今までおれが聞いた中で一番安い値段が50元、上限は想像もつかないが、やはりおれが聞いた中では10000元である。料理もそうだろうが、多分もっと上があるのだろう。携帯電話も前に書いたが、おれが知っている一番安いものは600元、一番高いものが6000元である。タバコも、安いものは一箱4.5元、高いものは50元する。ついでにもう一つ、これは完全に余談になるが、今日カルフールで見かけた全自動雀卓は8000元だった。
以前LWが言っていたのだが、中国人は自分に金銭的ゆとりがある場合、その場でもっとも高いものを買ってしまうという性質があるそうだ。腹が膨れればいいとか通話ができればいいという考え方はしない、という。これは面子の問題でもあるようで、金を持っている人間はそれらしい金の使い方をするべきだと思っているふしがある。
もっとも、それ以外にも当然品質の問題があるわけで、以前おれが買った乾電池が不良品だったという話を家庭教師のWJにしたとき、彼女はすぐさまおれに「その電池はいくらだった?」と聞いたものだ。彼らには生活上の当たり前の知識として、安いものに対する不信感がある。日本にいると、こういう感覚はそれほど必要とされない。百円ショップで買った電池はコンビニで買ったものより劣るのではないか、などと考える日本人がいるだろうか。
海外に来てみると、日本はなんというか、完成度の高いシステムだと思う。だからといって日本が恋しいといいたいわけではない。その完成度のゆえに息が詰まるという気もするし。