賭け

今日は実によく騙されたようだ。明らかに騙されたケースもあり、疑惑が否定される可能性は極めて低いとはいえ、明後日になるまで結論が出ないケースもある。おれが頭を悩ませているのは当然後者であって、後悔と自問自答は今でも止まることが無い。それゆえこうしてわざわざ日記に書いている。いつもはあまり外国人らしく振舞っていないおれだが、友人とともに観光客らしい振る舞いをしていたのが原因だろうか。
自分自身九割以上の確率で騙されていると思っているのに、なぜ金を出してしまったのだろう。一応明後日には真実が明らかになる。連中は約束の時間に連絡を寄越すのだろうか。
冷静に考えれば、まず連絡など来ないと思う。にも関わらずおれは金を貸してしまった。日本円にすれば微々たる金には違いない。それもおれが進んで金を出した一因ではある。おれがお人好しである、それもそのとおりだ。しかし何よりもあのときのおれの決断を促したものは、悪趣味とも言える好奇心であって、賭けをしてみたいと思っていたのだ。万が一この勝負に勝てたとしたら、その時に得られるものは、今日払った金額など比べ物にならないくらい大きいはずだ。
にもかかわらず、おれは今もこうして考え続けている。分が悪い賭けだという事を知っているからだ。では、あのときどうするべきだったのだろう。答えは一つで、無視していれば良かったに違いない。例え連中の言っていた苦境が真実であったとしても、おれがそこに関与しなければならない理由はない。今回のおれの行動は非合理的だ。そんなことはすべて自分でも分かっているのだ。
とりあえず、落ち着いて明後日を待つ。続報に期待してください。