今日は一休みして

友人WJの家に行ってきたことを書こうと思う。中国人の家に入るのは、以前指導教官の家に伺った時以来二度目である。
午後7時過ぎ、タクシーに乗って到着したところはKTVや理髪店が並び、まあまあディープな雰囲気である。夏の深夜になると小姐たちが道に並んで客引きをやってると教えてくれた。ああ、なんか最近こんな話ばっかり書いてる。
じきに書くだろうが、彼には長城に行く時にタクシーの手配を手伝ってもらったことがある。そのときには彼の職場に行ったのだが、彼の職場は彼の家に似たようなマンションの一室にあった。あのときも敷地の入り口には警備員がいて、用件とか名前とかをチェックされた。今回はさすがに住人と一緒なのでそこまでのチェックは無かったが、警備員が入り口付近に詰めているのは同じだ。暗証番号式のドアを抜けて、エレベーターに乗る。
こういう状況でどういうしゃべりをしたらいいか、最初は結構戸惑いがあったのだが、彼の母親はとても感じのいい人だった。何より、発音がきれいで実に聞き取りやすいのが助かる。隅々まで観察したわけではないのではっきりしたことは言えないが、間取りはおそらく3LDKくらいだろう。彼と母親、二人で暮らすには十分な広さがありそうだった。
食事の支度をしてもらっている間に彼の部屋に行く。なるほど、けっこうな量のゲームと、いくらかの漫画がある。海賊版も多いが、その中でも彼の自慢の正規版のゲームなどを見せてもらう。ちなみにプレステ2のゲームは海賊版で買うと一枚8元くらい、激安である。日本にプレステを置いてきて良かった、持ってきていたらやはり廃人確定である。プレステ2には正規版と海賊版を識別する装置がついているが、こっちの電気屋に持っていけばその部分を外してもらえる。そうすれば正規版も海賊版も、どちらも遊べるようになる。
用意が出来たと言うので食卓に。出てきた食事はおれの予想よりもはるかに薄味。日本人に気を使ってくれたのかどうかは定かではないが、非常に食べやすかった。もっともおれは多少味が濃くても気にならないのだが。旅行のことや、彼から教わった罵倒語の話などを話題にしていたら普通に会話が弾んでくれた。最初の懸念が杞憂に終わったことでおおいに安心する。
食後はまた彼の部屋で、今度はPCに入っているアニメを見せてもらう。中国語字幕の正確さはものによってまちまち。ダウンロードしてきたものばかりだというが、「幽○白書」全話とか、「銀河○道999」の映画版が全て納められているのには正直驚いた。彼らは「おたく」という言葉が日本で持つニュアンスなど当然知らないのだろう、それらをおれに見せるときにも屈託が無い。逆に言えば、中国ではこうした趣味の持ち主は世間的にどう見られるのかが気になる。
午後10時くらいに彼の家を辞す。途中まで送ってくれた彼と、今度はいささか深刻な話。彼とおれの共通の知人である某について、おれに注意を促してくれた。あまり好人物ではないらしい。「北京で人と付き合うには注意が必要だ」などと彼が言うのがいささかおかしく感じられてしまう。日本にいるころだって信用できない人間なんていくらでもいたわけだし、それに彼だって北京でできた知り合いの一人だからだ。それはともかく、忠告はありがたく受けいれよう。しかし、もしも彼に騙されたらおれはしばらく立ち直れないだろうな、とも思う。