レスの続き

おれは先進国になれるかどうかは「歴史が最終的な審判を下すこと」だと書いたはずです。おれは予言をしているわけではないのですから。できないと断言するつもりはありませんが、なれると言うつもりもありません。とはいえ、見通しは暗いだろうとも書きました。つまるところ、おれと提督氏の最大の相違点は、経済発展を阻害する要因を共産党に求めるか、それ以外にも認めるかというところにあるわけです。おれが言いたいのは、提督氏は共産党の影響を過大視しているのではないかということです。だからおれは人口問題や農村の状況を書いたのです。
仮に明日にでも共産党の支配が終わり、その一方で中国が現在の国土と人口を維持すると仮定した場合、人口問題や地域格差は依然として残ります。そしてそれらも経済発展にとって良い影響だけを与えるわけではない。内容には違いこそあれ、共産党支配下で経済発展を阻害するような不合理が起きているという点は、めずらしくわれわれが意見の一致を見た箇所なのですが、そう書きませんでしたでしょうか。ただ、おれには人口問題や地域格差の影響を無視できないということです。
ところで、中華思想はどうなったのですか?今はおれもこうして提督氏のお話に付き合っていますが、前にも書いたようにこの話題の発端はそこですし。賄賂の話はもう済んだことだとおっしゃるなら別に蒸し返しませんが、とりあえずこの話題が傍流であったことだけは確認しておきたいですね。
提督氏は共産党批判という方向性が顕著ですが、これに関して一つ面白いものが見つかりました。現状の中国は資本主義化が進みすぎて、もはや人民の味方ではなくなったという批判です。提督氏の趣味には合わない可能性が大ですし、おれ自身が著者の立場に同意しているわけでもありません。この著者はどうやら香港のトロツキストらしいです。さらに、著者が引用するデータがどのくらい正確なのか、この論文自体の信用度はどのくらいかという点はおれには判断がつきませんが、提督氏同様共産党政権に批判的でありながら、そのプロセスが正反対で、われわれ二人以外にも紹介する価値はあると思うのでURLを。おれにとっては、反中国共産党という立場は民主主義や法輪功だけでないということを思い出させてくれた点が有意義でした。少し考えれば、中国共産党の立場の中途半端さは左右両翼から攻撃されうるものだというのは自明のことなわけですが。この人は有名なんですかね。検索してもそれほど多くは引っかかりませんけど。別に、提督氏にこの論文に同意してくれとか言いたいわけではなく、一つの参考に過ぎません。もしも御存知でしたら、ほかの読者のためということでご容赦を。
資本主義の新中国の今昔―中国の「平和的興隆」から考える(1)
資本主義の新中国の今昔―中国の「平和的興隆」から考える(2)
資本主義の新中国の今昔―中国の「平和的興隆」から考える(3)
資本主義の新中国の今昔―中国の「平和的興隆」から考える(4)/香港・董建華行政長官の辞職
ところで、共産党は「余命いくばくも無い」という話は日本のネットではよく言われることですね。おれはこれについて懐疑的です。中国人の口から民主化への憧れや共産党への批判が語られることは多いのですが、では彼らは共産党政権を打倒すべきだと考えるかというとそうではないのです。おれの全般的な印象としては、大抵の中国人は現状に不満こそあれ、最悪の状態だとまでは思っていないようです。何度もご登場願って申し訳ない限りですが、Jonahさんが書いている通りでして、おれの感覚でも、共産党への不満が爆発寸前になっているようには思えないのです。もっとも、これも歴史が最終的な判断を下すことですが。それと、このJonahさんのエントリでは中国の貧富の差は世界的に見ればそれほどひどいものではない、と言われているのも個人的には気になるところです。
http://kangbuk.g.hatena.ne.jp/Jonah/20050709